個人事業主のファクタリング|注意点と選び方、給与ファクタリングとの違い

個人事業主のファクタリング|注意点と選び方、給与ファクタリングとの違い

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法人の取引先から仕事を受けているフリーランスのWebデザイナー。「報酬は月末締め・翌々月末払い。でも機材の買い替えで今月お金が必要」――そんな個人事業主の方に向けて、ファクタリングを使う前に知っておきたい注意点と、個人事業主に対応している会社の公開情報をまとめました。

ファクタリングは手数料の負担が大きく、使い方を誤ると資金繰りがかえって苦しくなることもあります。利用をすすめる記事ではなく、判断材料を整理する記事としてお読みください。

この記事でわかること

  • 個人事業主向けのファクタリングと「給与ファクタリング」の違い
  • 個人事業主が利用前に確認したい5つのポイント
  • 個人事業主に対応する6社の手数料・最低額・入金スピードの比較

結論:対象になるのは「事業の売掛金」だけ。コストと期日を先に確認

  • 個人事業主が使えるのは、事業で発生した売掛金(取引先への請求代金)のファクタリング。会社員の給料を売る「給与ファクタリング」は、金融庁が貸金業に該当するとしているもので、まったく別物です。
  • 売掛先が法人であることが条件の会社が多い。売掛先が個人の債権は対象外とする会社があります。
  • 少額ほど手数料率が高くなりやすい。利用額別の料率を公開している会社では、100万円未満の料率が最も高く設定されています。
  • 先に「支払期日は適正か」を確認。フリーランスへの報酬は、法律で支払期日のルールが定められています。

給与ファクタリングとの違い

項目 事業者向けファクタリング 給与ファクタリング
売るもの 事業の売掛金(取引先への請求代金) 勤務先から受け取る給料(賃金債権)
利用する人 法人・個人事業主 会社員・アルバイトなど
金融庁の見解 債権譲渡契約。ただし償還請求権がある等の場合は貸付けにあたる可能性 貸金業に該当する

金融庁は給与ファクタリングについて、次のように示しています。

業として、個人が使用者に対して有する賃金債権を買い取って金銭を交付し、当該個人を通じて当該債権に係る資金の回収を行うことは、貸金業に該当します(金融庁「給与の買取りをうたった違法なヤミ金融にご注意ください!」より)

金融庁は、登録のない業者による給与の買取りでは、年利換算で数百〜千数百%になるような手数料や違法な取立てのおそれがあると注意喚起しています。「個人OK」「給料日前でもOK」といった広告には注意してください。この記事で紹介する会社は、いずれも給与債権を扱いません。

個人事業主が利用前に確認したい5つのポイント

1. 売掛先が法人かどうか

ビートレーディングは「売掛先が個人事業主の売掛金」を、日本中小企業金融サポート機構は「売掛先が個人」の債権を対象外としています。一般の消費者向けの売上は対象外になりやすいと考えておきましょう。

2. 債権譲渡登記が使えないこと

債権譲渡登記(売掛債権の譲渡を第三者に主張できるようにする登記)は、法務省によると譲渡人が法人の場合に限られる制度です。個人事業主の場合は登記を使わない2社間取引が中心になり、会社側の審査や条件にも影響しうる点を理解しておきましょう。

3. 必要書類をそろえられるか

請求書や通帳(入出金明細)に加え、個人事業主は確定申告書や開業届を求められることがあります。例としてQuQuMo onlineは、個人事業主の書類として開業届または確定申告書一式を挙げています。

4. 少額での手数料負担

アクセルファクターの料率表では、100万円未満の2社間は4.5〜12.0%です。たとえば30万円の請求書を10%で売ると、手取りは27万円。差額の3万円が数十日分のコストになります。

5. 支払期日そのものが適正か

2024年11月施行のフリーランス・事業者間取引適正化等法では、従業員を使用する発注事業者がフリーランスに業務委託する場合、給付を受け取った日から60日以内のできる限り早い日に報酬の支払期日を定めることなどが求められています。入金が遅すぎる、約束どおり払われないといった場合は、厚生労働省の「フリーランス・トラブル110番」(弁護士に無料で相談できる窓口)への相談も選択肢です。

個人事業主に対応する6社の比較表

※各社公式サイトの記載をもとに作成(2026年10月確認)。手数料は審査により異なります。

サービス名 個人事業主の扱い 手数料(公式サイトの記載) 買取額の下限 入金スピード
QuQuMo online 法人・個人事業主・フリーランス可/2社間 1%〜 公式サイトで要確認(上限なし) 最短2時間
ビートレーディング 法人・個人事業主・フリーランス可(売掛先が個人事業主の債権は不可) 平均:2者間10.3%、3者間6.8%(2024年度実績) 1万円〜 最短2時間
PayToday 法人・個人事業主・フリーランス可/2社間 1〜9.5% 10万円〜 最短30分〜即日
アクセルファクター 個人事業主・中小企業が対象 100万円未満:2社間4.5〜12.0%、3社間4.0〜10.5% 公式サイトで要確認 書類送付から最短2時間以内
メンターキャピタル 法人・個人事業主可(会社員の個人は不可) 2%〜 30万円〜 最短即日
日本中小企業金融サポート機構 法人・個人事業主可(売掛先が法人の場合) 1.5%〜 下限なし(買取実績1万円〜) 最短3時間

各社の特徴・向いている人・注意点

QuQuMo online

特徴:2社間・オンライン完結で面談は不要。債権譲渡登記も不要としています。

向いている人:開業届や確定申告書を手元にそろえていて、すべてオンラインで済ませたい人。

注意点:手数料は下限のみの公開で、実際の料率は審査後の提示です。

QuQuMo onlineの公式サイトを見る

ビートレーディング

特徴:1万円からの資金調達について、法人・個人事業主・フリーランスを対象とする申込窓口を用意しています。審査資料は入出金明細(直近2か月分)と売掛金に関する資料の2点が基本です。

向いている人:数万円〜数十万円の少額の請求書を資金化したい人。

注意点:売掛先が個人事業主の場合は対象外。公開されている手数料は平均値です。

ビートレーディングの公式サイトを見る

PayToday

特徴:AI審査のオンライン完結型で、手数料の上限(9.5%)を公開。取引先への通知や債権譲渡登記は不要としています。

向いている人:手数料の上限を把握したうえで使いたいフリーランス。

注意点:直近6か月以上の入出金明細などが必要です。個人事業主の場合に決算書の代わりとなる書類は、公式サイトで確認してください。

PayTodayの公式サイトを見る

アクセルファクター

特徴:利用額別の手数料表を公開しており、少額時の料率を事前に把握できます。必要書類は請求書・通帳3か月分・身分証明書です。

向いている人:見積もり前にコストの目安を知りたい人。

注意点:100万円未満は料率が最も高い区分です。

アクセルファクターの公式サイトを見る

メンターキャピタル

特徴:30万円から対応し、オンライン・来社・訪問から契約方法を選べます。

向いている人:対面で説明を受けてから契約したい人。

注意点:30万円未満の請求書は対象外です。手数料は下限のみの公開です。

メンターキャピタルの公式サイトを見る

一般社団法人 日本中小企業金融サポート機構

特徴:関東財務局長・関東経済産業局長の認定を受けた経営革新等支援機関で、ファクタリングのほか補助金申請支援や金融機関の紹介も行っています。資金繰りの相談は無料としています。

向いている人:ファクタリング以外の選択肢も含めて相談したい人。

注意点:売掛先が個人の債権と給与債権は対象外です。

日本中小企業金融サポート機構の公式サイトを見る

申込みから入金までの一般的な流れ

  1. 見積もり・相談の申込み:Webフォームや電話で、請求書の金額や入金予定日を伝えます。
  2. 書類の提出:請求書、通帳(入出金明細)、本人確認書類、確定申告書などをアップロードします。
  3. 審査・条件の提示:買取額と手数料が提示されます。複数社の条件を比べるならこの段階です。
  4. 契約:電子契約や面談で契約します。契約書の控えは忘れずに受け取りましょう。
  5. 入金:手数料を差し引いた金額が振り込まれます。
  6. 売掛金の回収と送金(2社間の場合):取引先からの入金後、その代金をファクタリング会社に送ります。

契約書で確認したい5項目

  • 償還請求権の有無:取引先が払えなかったときに、自分が払う契約になっていないか。
  • 手数料の総額:料率だけでなく、事務手数料などを含めて手取りがいくらになるか。
  • 送金の期日と方法:取引先から入金された後、いつまでに送金するか。
  • 買い戻しの条項:債権を買い戻す義務が書かれていないか。
  • 違約金や解約の条件:送金が遅れた場合の扱いなど。

金融庁は、買い戻し義務や償還請求権がある契約は実質的に貸付けにあたる可能性があるとしています。わからない条項があれば、署名する前に質問しましょう。

デメリットと注意点

  • 手数料が重い:数十日分のつなぎ資金に数%〜十数%のコストがかかります。毎月使うと、その分だけ利益が減り続けます。
  • 入金を送金する義務がある:2社間では取引先から入った代金を期日どおりファクタリング会社に送ります。生活費などに回すとトラブルの原因になります。
  • 悪質業者のリスク:金融庁は、買取代金が債権額に比べて著しく低い場合や、買い戻しを求められる場合などに注意するよう呼びかけています。

よくある質問

Q. 開業したばかりでも利用できますか?

A. 会社によります。たとえば日本中小企業金融サポート機構は、審査で売掛金の内容や売掛先の信用力、入金予定日、取引実績などを確認するとしています。開業届や確定申告書の提出を求められることもあるため、事前に用意しておきましょう。

Q. 副業の売上でも使えますか?

A. 事業として請求書を発行している売掛金であれば対象になりうる一方、会社員としての給料は対象外です。個別の可否は各社に確認してください。

Q. ファクタリングのほかに、どんな資金調達がありますか?

A. 日本政策金融公庫の国民生活事業は個人事業主も対象で、事業資金の融資を行っています。急ぎでなければ、融資を先に検討するのも一つの方法です。

まとめ

個人事業主のファクタリングは、事業の売掛金を早く資金化する手段です。給与ファクタリングとはまったく別物で、売掛先が法人であること、手数料負担、必要書類を事前に確認することが大切です。

コストが大きいため、取引先との支払条件の相談や、公的な融資制度もあわせて比べたうえで判断してください。

出典

情報は2026年10月時点の各社公式サイトに基づきます。最新情報は公式サイトでご確認ください。