建設業のファクタリング|工事代金の支払サイト事情と選び方・注意点

建設業のファクタリング|工事代金の支払サイト事情と選び方・注意点

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内装工事の下請けをしている、従業員8名の工務店の社長。「材料費と職人さんへの支払いは先に出ていくのに、工事代金が入るのは引き渡しのずっと後」――そんな建設業の方に向けて、工事代金の支払いに関する公的なルールと、建設業でファクタリングを使うときの確認点を整理しました。

ファクタリングは手数料の負担が大きい資金調達です。利用をすすめる記事ではなく、制度とサービスの事実を整理した記事としてお読みください。

この記事でわかること

  • 下請代金の支払期日や手形のルールなど、建設業の支払いに関する公的なルール
  • 工事代金をファクタリングするときに確認したい契約上のポイント
  • 建設業特化型ファクタリングと注文書ファクタリングの特徴と注意点

結論:まず契約とルールを確認し、ファクタリングは最後に比べる

  • 下請代金の支払いには建設業法のルールがある。支払期日や手形の期間が守られているかを先に確認しましょう。
  • 工事請負契約の「譲渡制限特約」を確認。民法改正後は特約があっても債権譲渡は有効ですが、契約解除などにつながる場合があります。
  • 建設業向けのファクタリングは、元請・下請を問わず使えるものがある。ただし手数料は契約形態や金額で大きく変わります。

建設業の支払いに関する公的なルール

下請代金の支払期日

国土交通省の「建設業法令遵守ガイドライン」などによると、主なルールは次のとおりです。

  • 建設業法第24条の3:元請負人は、注文者から請負代金の支払いを受けたときは、下請負人に対して相応する下請代金を1か月以内に支払わなければならない。また、下請代金はできる限り現金で支払うこととされています。
  • 建設業法第24条の6:特定建設業者(元請として一定額以上の下請契約を結ぶのに必要な許可を持つ業者)が、資本金4,000万円未満の下請負人に発注した場合は、引渡しの申出の日から50日以内に下請代金を支払わなければならない。
  • 前払金への配慮:元請負人が前払金を受けたときは、下請負人に資材の購入や労働者の募集など着手に必要な費用を前払金として支払うよう配慮することとされています。

手形の期間(サイト)は60日超が指導対象に

国土交通省によると、令和6年11月から、特定建設業者が下請代金を手形で支払う場合、手形の期間が60日を超えるものは「一般の金融機関による割引を受けることが困難であると認められる手形」として指導の対象になりました(従来は120日超)。

特定建設業者からの支払いでも引渡しの申出から最長50日、そこに手形の期間が加わると、材料費や外注費の支払いとの間に数か月のずれが生じることがあります。株式会社No.1の建設業向けページでも、元請業者の支払いサイクルの長さや、新しい現場での材料費の負担を資金繰りの課題として挙げています。

支払いがルールより大幅に遅い場合は、ファクタリングの前に、元請との協議や行政の相談窓口の活用を検討しましょう。

工事代金をファクタリングする前の確認ポイント

1. 請負契約の譲渡制限特約

2020年4月施行の改正民法により、譲渡制限特約(債権を他人に譲らない約束)が付いていても、債権譲渡の効力は妨げられないことになりました(法務省)。これを受けて中央建設業審議会は建設工事の標準請負契約約款を改正し、公共工事向けでは、前払金や部分払でも資金が足りない場合に発注者が譲渡を承諾しなければならない旨を、民間工事向けでは資金調達目的の譲渡を認める条文を盛り込みました。

一方で、特約に違反した譲渡や、調達した資金を工事以外に使った場合は、契約を解除できる規定も設けられています(国土交通省の報道発表より)。実際の契約内容は工事ごとに異なるため、自社の請負契約書を確認してください。

2. 2社間か3社間か

3社間は元請(売掛先)の承諾が必要です。2社間は元請に知られずに進められる一方、手数料は高めになりやすく、法人の場合は債権譲渡登記を求められることがあります。

3. 債権が確定しているか

請求書を発行済みの工事代金と、工事が終わっていない段階の注文書では、リスクが異なります。工事が予定どおり終わらなければ、代金が支払われない可能性もあります。

4. ほかの資金調達との比較

日本政策金融公庫の融資や、信用保証協会の保証付き融資など、手数料より低いコストで借りられる可能性がある方法もあります。

ファクタリングの前に検討したい3つの方法

1. 元請との支払条件の協議

建設業法令遵守ガイドラインでは、下請代金はできる限り現金で支払うこととされ、手形などで支払う場合も割引料を下請負人に負担させないよう、下請代金の額を十分協議することが求められています。60日を超える手形での支払いや、支払期日の大幅な遅れがある場合は、まず元請と条件を話し合う余地があります。

2. 前払金・部分払の活用

公共工事の標準請負契約約款には前払金や部分払(出来高に応じた途中の支払い)の仕組みがあり、それでも資金が足りない場合の債権譲渡についての規定も設けられています。民間工事でも、契約時に前払金や出来高払いを取り決められないか確認しましょう。

3. 融資

日本政策金融公庫の国民生活事業は小規模事業者や個人事業主も対象としており、運転資金にも対応しています。信用保証協会の保証付き融資も選択肢です。審査に時間がかかるため、大きな工事を受注した段階で早めに相談するのがポイントです。

申込み時に用意する書類の例

  • 請求書(工事代金の請求額と支払期日がわかるもの)
  • 通帳のコピー・入出金明細(元請からの入金実績がわかるもの)
  • 工事請負契約書・注文書・発注書(注文書ファクタリングの場合など)
  • 本人確認書類、決算書や確定申告書(会社により異なる)

株式会社No.1は必要書類として請求書と通帳のコピーを挙げ、ビートレーディングの注文書ファクタリングは注文書・発注書・契約書・受注書などの書類があれば利用できるとしています。追加書類は会社や審査内容により異なります。

建設業向けファクタリングの比較表

※各社公式サイトの記載をもとに作成(2026年10月確認)。

サービス名 建設業向けの特徴 手数料 買取可能額 入金スピード 対象
株式会社No.1 建設業特化型ファクタリング 元請・下請を問わず対応。2社間が中心 0.5〜15% 50万円〜3億円(超える場合は相談) 最短30分で振込 法人・個人事業主
ビートレーディング 注文書ファクタリング 注文書・発注書・契約書などで利用可。2者間で売掛先への通知なし 公式サイトで要確認(個別見積もり) 公式サイトで要確認 最短即日振込 法人・個人事業主(売掛先は法人のみ)

各サービスの特徴・向いている人・注意点

株式会社No.1 建設業特化型ファクタリング

特徴:鉄骨鳶業、土木工事業、建築解体業など建設業全般を対象とし、元請・下請を問わず対応しています。手数料は0.5〜15%、買取可能額は50万円〜3億円。オンライン契約に対応し、全国から申し込めます。償還請求権なし(ノンリコース)の契約で、取引先が倒産しても返済義務はないとしています。毎月の利用も可能です。

向いている人:完成・引渡し後の工事代金の入金待ちが続き、材料費や外注費の支払いが先に来る下請業者。

注意点:手数料の上限は15%です。2社間が中心のため、3社間より高めの料率になる可能性があります。毎月使えることは、裏を返せば手数料が毎月かかり続けることでもあります。注文書段階の債権への対応は、公式サイトでは確認できませんでした。

株式会社No.1(建設業特化型)の公式サイトを見る

ビートレーディング 注文書ファクタリング

特徴:受注が確定した段階の注文書・発注書・契約書などを使い、工事の完了前に資金化できるサービスです(2021年1月開始)。同社サイトによると、注文書ファクタリングの利用業種は建設業が65%を占めます。最大90日の支払いサイト短縮に対応するとしています。

向いている人:大きな工事を受注し、着工前の材料購入や人員確保の資金が必要な事業者。

注意点:工事完了前の資金化のため、工期の遅れや追加・変更工事で代金が変わるリスクがあります。2者間の場合、元請から入金された代金をビートレーディングへ支払う必要があります。手数料は個別見積もりです。

ビートレーディングの公式サイトを見る

建設業でファクタリングを使うデメリット

  • 手数料で利益が削られる:たとえば粗利10%の工事の代金に手数料10%がかかれば、その工事の利益はほぼなくなります。
  • 契約解除のリスク:譲渡制限特約に違反したり、調達資金を工事以外に使ったりすると、請負契約を解除される規定がある場合があります。
  • 元請との関係:3社間では元請の承諾が必要です。
  • 悪質業者:金融庁は、ファクタリングを装った違法な貸付けや、償還請求権・買い戻し義務のある契約に注意するよう呼びかけています。

よくある質問

Q. 一人親方(個人事業主)でも利用できますか?

A. 株式会社No.1の建設業特化型ファクタリングは個人事業主も対象としています。ビートレーディングの注文書ファクタリングも個人事業主が利用できますが、売掛先は法人に限られます。

Q. 元請に知られずに利用できますか?

A. 2社間なら元請への通知は原則不要です。ただし、請負契約の譲渡制限特約との関係は確認が必要です。

Q. 手形で受け取った代金はどうすればいいですか?

A. 手形の割引は金融機関で相談できます。特定建設業者からの手形で期間が60日を超える場合は、国土交通省の指導対象になるため、元請と支払条件を相談する余地があります。

Q. 公共工事の代金も対象になりますか?

A. 公共工事は発注者の承諾が関わるため、まず請負契約書の条項を確認し、各ファクタリング会社に対応の可否を問い合わせてください。

まとめ

建設業の資金繰りでは、まず下請代金の支払期日や手形の期間が建設業法のルールに沿っているかを確認し、元請との協議や融資を検討することが基本です。そのうえでファクタリングを使う場合は、請負契約の譲渡制限特約、2社間・3社間の違い、債権が確定しているかを確認し、手数料の総額で比べてください。

株式会社No.1(建設業特化型)の公式サイトを見る

出典

情報は2026年10月時点の各社公式サイトに基づきます。最新情報は公式サイトでご確認ください。